Fate/Zeroともすれば本編を呑み込んでしまうのではないかというレベルのスピンオフ作品

Fate/Zeroというタイトルから本編であるFate/stay nightの前日譚を描いたものであることは一目で分かります。「ゼロ」と銘打った同様の作品が乱立することから、いささか食傷気味に感じてしまう方もいるかもしれません。しかし、ありきたりな前日譚とは一線を画するのがFate/Zeroだと思います。

映像のクオリティの高さも確かに目をひきつけるところですが、目まぐるしく戦局が変化してまったく先の読めないストーリー展開、各勢力のマスターとサーヴァントたちの息詰まるような人間関係、そして本編では断片的に語れていなかった因縁が紐解かれてどのように引き継がれていくのかを知ったときの高揚など、語りつくせないくらいの魅力があります。

個人的な見解ですが敢えて見所を挙げるのであれば刮目すべきは、切嗣とセイバーの間に横たわる決して埋めようの無い確執。セイバー・ライダー・アーチャーの三人の王たちが唱えるそれぞれの王道の激突とその果てに見える決着。本編とは異なり「本物の魔術師」たちが繰り広げる情け容赦の無い殺し合いと、そこに交錯する衛宮切嗣と言峰綺礼の決して救われることの無い生き方とその結末の三点です。

特に序盤から繰り広げられる三人の王たちが、それぞれの生き様によって体現する王のあり方は誰が正しいというわけではなく、時に傲慢とすら思える在り方に震えるような畏敬すら覚えます。逆にそんな誇り高い英霊の誇りすら踏みにじるような冷徹さで確実に敵対勢力を屠り、着実に願望をかなえる道を歩みながらも実際は己の願望とはかけ離れていく切嗣と、誰よりも信仰に篤く正しさを知りながらも正反対の性質に生まれた言峰。まさに出会うべくして出会ったとしか言いようのない因縁をもった二人の相手への憎悪と生き方への絶対的な拒絶。そして、最後の最後まで埋まることのなかった切嗣とセイバーの確執を体現するようなラストシーン。

いったい、このアニメを見ずに、他にんなアニメを見ろと言えるのでしょうか。